ブランクのある看護師のための看護技術とケアの復習【復職セミナー前に】

褥瘡がなくならない理由

褥瘡は予防計画を立て、褥瘡にならないような様々な方策を講じても
なかなかなくなりません。
これは、患者さん自身が持っている多様な褥瘡発生個体要因や、
小さな環境の変化が要因として加わるため、
「無くすのが難しい」と言う現実問題があり、褥瘡を無くすのは永遠の課題といえます。

 

看護師は、患者さんが入院したり入所した際、
褥瘡発生の予防のために皮膚の観察をしたり、リスクアセスメントスケールを使用し褥瘡発生予測を実施しています。

 

それにより、褥瘡の発生は確実に減少してはいるのですが、
完全に発生を無くすことが出来ていません。

褥瘡推定発症率とその要因について

日本国内における療養場所別での褥瘡有病率、発生部位、深さ、有病者の特徴などについて、
日本褥瘡学会実態調査委員会が全国調査を行いました。

 

この調査によると、褥瘡推定発症率は、病院、介護老人福祉施設、訪問看護ステーション、介護老人保健施設のうち、
訪問看護ステーションが最も多く、
老人保健施設や精神病院では75歳以上の占める割合が高く、
特に脳血管後遺症、認知症の患者さんに多いこと、
ベッド上基本動作能力が低下している、関節拘縮がある、尿や便失禁がある患者さんに多いことが分りました。
また、一般病院や大学病院では、がん患者さんの褥瘡発症率が高く、
治療上の制約、原疾患の憎悪による自力体位変換困難などが原因となっていることも分りました。

 

高齢化社会が進み、在院日数の短縮、療養病床の削減が進む今後の社会では、
褥瘡保有者、褥瘡発生リスクの高い人が在宅を含む地域社会へ移動します。
そうなると、マンパワーや資源、設備、知識の不足による褥瘡の高い発症リスクも懸念されます。

褥瘡の発生要因

褥瘡が発症する原因としては、基本的日常生活自立度の低下、病的骨突出、関節拘縮、栄養状態の悪化、
浮腫、多汗・尿便失禁が、患者さんそれぞれの褥瘡発生要因として挙げられています。
また、環境的な要因としては、体位変換や体圧分散寝具、頭部挙上、介護力などが挙げられています。

 

ですが、限られたマンパワーや資源、設備であっても、
患者さんそれぞれに適したケアを提供することができれば、
褥瘡発症の要因をすべて満たす患者さんでも褥瘡を予防することができます。

 

また、在宅で適切な褥瘡予防ケアが行われている人が、
老人介護福祉施設へショートステイした際に褥瘡を発生させたが、
自宅へ戻り適切な褥瘡予防ケアを再び行うことで治癒できたという症例もあります。
この症例の場合は、患者さん側の要因のほかに、ショートステイ中の頭部挙上によるずれや、
患者さんに適合しない体圧分散寝具の使用と言う環境要因が加わり褥瘡が発生したと考えられています。

 

さらに、褥瘡発生のリスクが高い患者さんが病院に入院し、
適切な予防計画を実施されていたとしても、部屋の移動の際に高機能体圧分散寝具の体重設定が変化するなどして、
体圧分散寝具が不適切な状態のまま気付かれずに数日が経過し、褥瘡が発症するという症例もあります。

 

このように、患者さんを取り巻く周りの環境の変化が褥瘡を発症させるケースも多いため、
計画の立案、実施、評価を患者さんの状態に応じて繰り返すことや、
適切な看護技術を提供することができているかなどの確認が必要です。

 

また、療養場所が変わっても、個々の患者さんに応じた褥瘡予防ケアが受けられるよう、
資源の充実、患者さんに関わる医療従事者、家族を含めた介護者の教育も必要です。